「自分のことは、無口で優柔不断な人間だと思います」
そう話すのは、株式会社Crestixで役員を務めながら、HD事業部のIS組織を管轄する前川弘行です。
人前で熱く語り、周囲を強く引っ張るタイプではありません。自分の判断に、迷うこともあります。
それでも前川は、学生時代の営業インターン、Crestixへの入社、リーダーという役割に、一歩ずつ踏み出してきました。
その原動力は、揺るぎない自信ではありません。
「やってみてダメだったら、そのとき諦めればいい」
迷いながらも行動し、一度始めたことを続けてきた。今回は、そんな前川がCrestixを選んだ理由と、がむしゃらに時間をかける働き方から、成果につながる努力へと変化するまでを聞きました。
プロフィール
前川 弘行
株式会社Crestix 役員/HD事業部 ISリーダー。
学生時代に営業の長期インターンを経験した後、人材会社へ入社。会社員として働きながら、現在のCrestix代表である縞谷と事業づくりに携わり、2025年4月にCrestixへ入社。
現在は、IS組織の数値管理や、目標達成に向けた施策の立案・実行、メンバーのマネジメントを担っている。
「学歴に自信がない。だったら、何かやらないと」
――まず、前川さんは自分をどのような人間だと思っていますか。
前川:
無口で、優柔不断な人間だと思っています。
昔はもう少し明るかったつもりなんですけど、周りから見たら、あまり変わっていないかもしれません。
人前に立って、みんなをグイグイ引っ張っていくタイプではないです。決断するときも、結構迷います。
――それでも学生時代には、営業の長期インターンを始めています。何がきっかけだったのでしょうか。
前川:
学歴がすごく高いわけではなかったので、「このままだと就活で埋もれるな」と思ったんです。
だから、まずは何でもいいからやろうと思いました。
ちょうど友人から長期インターンに誘われる機会があって、「めっちゃちょうどいいやん」と。営業に向いている自信があったわけではありません。
最終的には、いつも「ダメだったらやめればいい」と考えます。それで一歩を踏み出せているところはあると思います。
――インターンは、どのような目標を持って続けていたのですか。
前川:
就活のときに、経験として話せるところまではやろうと決めていました。
僕は就活で、実際には経験していないことをうまく話せるタイプでもありません。だから、自分が話す内容を裏付けられるような実績や経験をつくりたかったんです。
そこまで到達できたので、インターンは一区切りにしました。
最初から営業が好きだったわけでも、明確な将来像があったわけでもありません。ただ、「何もせずに就活を迎えるより、何かをやってみよう」と考えたことが、最初の一歩でした。
入社理由は「誘われたから」。でも、最後に選んだのは自分だった
――Crestixへ入社した理由を、前川さんは「誘われたから」と表現しています。その経緯を教えてください。
前川:
もともとは、縞谷を含めた3人で、それぞれ会社員をしながら事業を進めていました。
平日の夜や土曜日に集まって、人材関係の仕事や新しい事業の計画など、いろいろなことをやっていました。
途中で1人が抜けて、残ったのが縞谷と僕の2人です。その後、縞谷が会社員を辞めて、本格的に事業を始めました。
僕は最初、副業のような感覚で手伝っていました。でも、だんだん「いつ会社を辞めるのか」と聞かれるようになって(笑)。
当時の会社に一生いるつもりはありませんでしたが、転職するにはまだ早いかなとも思っていました。
――前の会社に残る選択肢もあったと思います。なぜCrestixを選んだのでしょうか。
前川:
前の会社にいれば、お金や時間の面では、もっと楽だったと思います。
一方で、Crestixに行けば、今までの自分にはなかった新しい経験ができる。それに、友達が困っているなら助けたいという気持ちもありました。
当時の自分が大切にしていたものを天秤にかけたとき、Crestixに行かない選択をした方が、後からずっと後悔すると思ったんです。
大きくなる可能性も感じていましたし、「何か面白い経験ができそうだな」という感覚もありました。
27歳になってから同じことをやろうと思っても、難しいかもしれない。だったら、今しかできない経験を選ぼうと思いました。
――最初から、成功を確信していたわけではないのですね。
前川:
全然ないです。不安の方が大きかったと思います。
でも、ダメだったとしても、何とかなるだろうという感覚はありました。
それよりも、挑戦しなかったことを後悔する方が嫌だったんです。
きっかけは誘われたことでした。でも最後は、自分にとって何が大切なのかを考えて、自分で決めました。
本業を終えた後、朝4時まで。初めて知った「やってみないと分からないこと」
Crestixへ入社する前、前川は会社員として働きながら、縞谷と事業づくりを続けていました。
特に厳しかった時期には、本業を終えた後に作業を始め、朝4時頃まで仕事をする日が続いたといいます。
――具体的には、何をしていたのでしょうか。
前川:
人材関係の仕事や、SNSの運用に関する補助、新しい事業をどのように展開していくのかという計画づくりなどです。
事業の方向性を考えたり、計画やKPIをつくったり、いろいろなことを同時にやっていました。
めちゃくちゃしんどかったですね。
――そこまでして、なぜ続けられたのでしょうか。
前川:
当時は、友達を手伝っている感覚が大きかったです。
それに、僕には会社員という戻れる場所がありました。その安心感があったから、精神的には挑戦しやすかったのかもしれません。
あとは、流れに身を任せるタイプでもあるので、気づいたらそういう働き方になっていた部分もあります。
今振り返ると、「よくやっていたな」と思います。
この記事で、朝4時まで働くこと自体を称賛したいわけではありません。
前川自身も、この経験から得たものを「長時間働けたこと」ではなく、実際にやってみたからこそ、自分に合うことと合わないことを知れた点だと振り返ります。
前川:
僕は、いろいろなことを経験してみたい気持ちがあるんです。
本を読んで知識を得ることはできます。でも、実際に自分がやってみないと、自分に合っているかどうかは分かりません。
あの時期に、今までにない働き方や事業づくりを経験できたことは、自分にとって価値がありました。
「やってみた結果、違うと分かる」ことも、経験の一つだと思います。
長く働くことより、成果につながる振り返りを
入社前からCrestixの仕事に多くの時間を使ってきた前川ですが、現在は、ただ時間をかける働き方から、効率や成果を重視する働き方へと変化しています。
その転機になったのが、Crestixで繰り返してきた「振り返り」でした。
――以前と現在では、仕事の進め方はどのように変わりましたか。
前川:
効率的に仕事をすることは、最初からずっと言われていました。
でも、当時は考え方を理解できていなかったですし、実践もできていませんでした。
大手町へオフィスを移転した頃から、少しずつ自分の中に定着し始めたと思います。
一番大きかったのは、振り返りを何度も続けたことです。
――振り返りによって、何が変わったのでしょうか。
前川:
最初は、縞谷につきっきりで振り返りをしてもらっていました。
自分ではできていると思っていても、全然考えられていなかった。最初は本当にボロボロでした。
それでも、振り返って、次にやることを決めて、実際に試す。すると、数字が上がることがありました。
「確かに、この考え方で進めたら成果が変わるんだ」と成功体験を得られたことが大きかったです。
会社の仕組みとして振り返りをしなくなった時期にも、前川は自分で続けていました。
続けることそのものが目的だったのではありません。
振り返ることが、成果へ近づく最も早い方法だと理解したからです。
前川:
最初は、意識しないとできませんでした。
でも、何度も意識して繰り返すことで、少しずつ無意識でも考えられるようになってきました。今でも間違えることはあります。
ただ長く働くのではなく、何がうまくいかなかったのかを振り返り、次に何を変えるのかを考える。
その考え方は、以前より身についてきたと思います。
前川の強みである「やり続けること」は、同じやり方を根性だけで繰り返すことではありません。
行動し、振り返り、改善する。そのサイクルを、結果が出るまで続けることです。
無口な僕は、みんなを引っ張るのではなく、支える人でありたい
現在、前川はHD事業部のISリーダーとして、組織の数値管理や、目標を達成するための施策づくり、メンバーのマネジメントを担っています。
これまでには、ISだけでなく、FSや訪問営業、新規事業など、さまざまな業務を経験してきました。
――役員やリーダーというと、周囲を強く引っ張る人物を想像する人もいます。前川さんは、どのようなリーダーになりたいですか。
前川:
僕は、みんなを強く引っ張ったり、モチベーションを上げたりすることが得意なタイプではありません。
でも、今後人が増えて、会社が大きくなっていく中で、組織を支える人ではありたいと思っています。
そのためには、僕自身のビジネスパーソンとしての力を、もっと上げないといけません。
周りには強い人がたくさんいます。その人たちと肩を並べられるくらいまで、自分の力をつけたいです。
前川は、自分を完成された役員だとは考えていません。
早い段階で会社に関わったからこそ役割を任された部分もあり、現在の実力が肩書きに十分追いついているとは感じていないといいます。
だからこそ、役員という肩書きだけで管理するのではなく、今も現場に立ち、数字や改善に向き合っています。
――Crestixでは、どのような人が成長できると思いますか。
前川:
頑張ってやろうとしている人に対しては、すごく真摯に向き合ってくれる人が多いと思います。
僕自身、できないことに対して、何度も一緒に振り返ってもらいました。
本人にしか直接的なメリットがないようなことでも、本気で向き合ってくれる人がいます。
個人が実現したい目標についても、「どうすれば達成できるのか」を一緒に考えてくれる。
何度言われても行動しない場合は難しいと思います。でも、できなくても、何とか変えようとしている人には向き合ってくれる組織です。
誰でもCrestixに入れば、自動的に成長できるわけではありません。
一歩を踏み出し、指摘を受け止め、行動を変えようとする。その意思がある人に対して、周囲も本気で向き合う。
前川自身も、その関わりによって仕事の進め方を変えてきた一人です。
「自信がないからやらない」ではなく、やってみてから決めればいい
――「どうせ自分には無理だ」と考え、挑戦する前に諦めている人へ、伝えたいことはありますか。
前川:
やっていないのに諦めるのであれば、一度やってみてから諦めればいいと思います。
自分に自信がない人も多いと思います。でも、自信がなくても、とりあえずやってみたらいい。
やってみてダメだったら、そのときに諦めて、別の道を探すのも一つの選択肢です。
何を大事にするのかは、人によって違います。
お金や時間、肩書き、仲間、新しい経験。全部を取ることが難しい場面もあります。
そういうときは、自分が一番大切にしたいものは何なのか。その選択をしなかったときに、どちらをより後悔するのかを考えます。
僕はCrestixに入るとき、行かなかった方が後悔すると思いました。
だから、一歩を踏み出しました。
――これから、Crestixで実現したいことを教えてください。
前川:
今いるメンバーとは、最後にみんなで成功して、笑って終わりたいと思っています。
その中に、自分もきちんと入っていたい。
自分一人では見られなかった夢を、ここにいることで見られていると思います。それが、僕が頑張る一番の理由かもしれません。
これから人が増えていく中で、組織を支えられる人になりたいです。事業を大きくしながら、自分自身の市場価値やビジネスパーソンとしての力も高めていきたいと思っています。
自信がついてから、挑戦する必要はありません。
前川自身、迷いがなくなったわけでも、何でもできるようになったわけでもありません。
無口で、優柔不断で、ときには自分の決断に迷いながらも、後悔しない方を選び、始めたことを続けてきました。
最初の一歩は、大きな決断でなくてもいい。
自信がなくても、まずやってみる。
前川弘行の歩みは、その小さな選択が、想像していなかった役割や景色につながることを教えてくれます。